サヨナラボーク [スポーツ]

まあ体調不良だったり、疲労の蓄積だったりで、
なかなか記事を書くペースを戻せなかったり、
ブログ巡りが思うように行かなかったりしているわけですが、
私は別にnice!ハンターではありませんのでご心配なく。
読んだ記事にはnice!を押していますけどね……

前回は投球フォームと主な球種のお話を書きましたが、
今回はもう少し投球のルールについて書いていこうと思います。

投手の投球には前回の記事で触れたワインドアップポジションと、
セットポジションからの投球があり、
現在の野球ではこの2つが正規の投球として認められています。
従ってこの2種類以外の投球スタイルは違反となるわけですが、
その中にも細かいルールが定められており、今回はそちらを書かせて頂きます。

まず最初に挙げるのは、不正投球と呼ばれるもの。
正規の投球動作に伴わない、或いは意図的に正規の球を使用しない投球法で、
両足を地面から離して投げる、ジャンピングスローによる投球もこれに該当します。
実際飛び上がって投げるというのは力を伝えにくいため、
実用的な投げ方ではありませんが……
それ以外にも初めから細工を施したりするケースもあります。
アニメにもなった漫画・ワンナウツの、インチキナックルもこの不正投球に当たるもの。
主な不正投球は大きく分けて次の通りです。

・エメリーボール
砂や紙鑢、爪などを用いて表面に意図的に傷を作ること。
これによって指の引っ掛かりを良くすると同時に、
不規則な空気抵抗を生み出すことで変化球を大きく曲げることが出来る。

・スピットボール
指や球に唾などを付けて滑るようにし、意図的に回転数の少ない球を投げること。
回転数が少なければ少ないほど空気抵抗を受け、
ナックルのように不規則な変化をしやすい特徴を持っている。
唾の代わりに汗や整髪用のジェル、松脂なども使用され、最も使用頻度が高い不正投球。
元千葉ロッテのブライアン・ウォーレン投手はこの疑惑をかけられ、
投球の度にいちいちチェックされたこともあった。

ちなみに打者のドーピング全盛時のメジャーで最も多く用いられている不正。

・マッドボール
グラウンドの土を故意に付けて、滑り止めとして用いる不正投球。
効果はエメリーボールとほぼ同じで、ワンバウンドで捕球した球を捕手が審判に見せるのは、
新しいものに交換するかどうかの判断を仰ぐため。

・シャインボール
使いすぎて磨り減った球を使用する不正投球で、効果はスピットボールとほぼ同じ。
頻繁に交換する近年のプロ野球ではほぼありえない不正投球。


もう一つは塁に出た相手を騙すことを目的とした反則投球。
一般的にはボークと呼ばれていますが、野球で一番多い反則行為でもあります。
反則投球に該当するのは、以下の通り。

・球を保持していない状態で投手板に触れた、或いは投手板を跨いだ
・打者と正対していないのに投球を行った
・打者が構える前に投球を行った
・投手板に触れずに投球を行った(捕手への送球は除外)
・セットポジションに於いて完全停止しなかった
 (反則投球として一番多く取られるケースがこのパターン)
・投球板に触れて投球動作を開始してから、僅かでも全身が完全制止した(2段モーション)
・投球動作に入りながら、それを途中で放棄した(サヨナラボークがこのケースに当てはまる)
・投手板に触れたまま走者の居ない塁へ牽制を行った、或いは行おうとした
・投手板に触れたまま走者の居る塁へ自由な足を踏み出さずに投げた
 (軸足を投手板から外して牽制を行った場合は適用外)
・投手板に触れたまま走者の居る塁へ投げるふりをした(一塁のみ適用)
・投球姿勢をとった後、投球・牽制目的以外で一方の手を球から離した
・故意四球(敬遠)の際に、捕手が定められた位置から足を出した
・走者が塁から離れていないのに牽制を行った(遅延行為)
・投手板に触れた状態で球を落とした

主にこれらが反則投球となりますが、その中にも細かい規定があります。
まずは2段モーションについてですが、これはルールの国際規格への統一化で、
日本のプロ野球では2006年から厳格化されました。
ポイントとなるのは一瞬でも全身が完全制止してはならないということです。
ところが日本の野球ではこれを拡大解釈してしまい、
足の上げ下げまでもが適用の対象となってしまいました。
そのため以前の三浦大輔投手(横浜)や岩隈久志投手(東北楽天)のように、
軸足への溜めを作るための足の上げ下げが2段モーションの対象となり、
該当者は投球フォームの変更を余儀なくされました。
(岩隈はフォーム改造とそれに伴う故障の影響によって、
不本意なシーズンを送る事になるが、2008年シーズンに21勝を上げて復活する)

↑変更前の投球フォーム ↓現在の投球フォーム

本来は足を上げたあと足首を上げる、
或いは足を下ろすタイミングを意図的にずらす、といった、
投球フォームの中で一瞬でも全身が静止する状態こそ対象となります。
なお松坂大輔投手(レッドソックス)の投球フォームは一時、
2段モーションではないか?とメジャーで批判を受けましたが、
グラブが制止していないため完全制止ではない、と判断されています。

もう一つは投球動作の中断についてですが、
どういう状態に入ったら投球動作となるのかを説明しないとわかりませんよね?
なので、まずは投球動作の起点となるポイント。
まずワインドアップポジションの基点となるのは、自由な足を投球板後方へ振り出す行為。
セットポジションの場合は両手で球を保持しようとする行為。
この2点が投球動作開始の起点となります。
つまりこの動作以降で投球や牽制以外の動作を行えば、
投球動作の中断とみなされて全てボークになります。

それ以外にも自由な足を後ろに踏み出して以降の二塁以外への牽制。
ワインドアップで振りかぶったり、
サイドスローやアンダースローで上半身を沈み込ませてからの牽制。
自由な足の爪先を僅かでも打者方向に向けてからの牽制、
これは自由な足の膝が軸足と交差するように上げられた場合が多いですが、
これらは投球動作の中断と判断されてボークとなります。

基本的にボークは走者が居る場合は投球無効となり次の塁への安全進塁権、
居ない場合はボールカウントとして扱われます。
ただしボークで投球された球を打ち、それが走者の進塁になれば、
打撃結果が優先されてボークにはなりません。
逆にボークの投球で打者走者を含む走者が一人でも次の塁に到達できない場合、
ボークが適用されます。
その例として1998年の読売対横浜の試合。
槙原寛己投手のボークを佐伯貴弘選手が打ち、ライトフライに倒れたことでボークが適用。
投げ直しとなった投球をホームランにしています。

野球の中では満塁からフォアボールやデッドボールによって走者を押し出し、
その結果試合に負けることもありますが、
恐らく唯一と思われるボークによるサヨナラゲームというのがこれで、
1998年夏の甲子園大会2回戦に行われた、豊田大谷-宇部商業の試合。
延長15回、宇部商の藤田修平投手がセットポジションに入るために、
両手で球を保持しようとしたところで捕手からサインが出たことに驚いて離してしまい、
これが投球動作の中止としてボークを取られてサヨナラ負け。(動画0:44辺り)

因みにこのときの宇部商業の捕手は、現・埼玉西武ライオンズの上本達之選手。
甲子園大会史上初、恐らく唯一のサヨナラボークで決着が着いた試合でした。


ここまでは投手中心で書いてきましたが、次回は打者中心で書いてみましょうか。



タグ:野球
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ゆう

ウォーレンとは懐かしいですね。
たしか不正投球の疑惑をかけられた次の日に、グローブにはさみとかカッターを刺して(たしか)抗議した選手ですよね。
ほんとに不正投球してたかどうかは知りませんが(笑)
by ゆう (2010-06-09 21:49) 

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番場蛮もボークだったんですね。
by chokusin (2010-06-09 22:46) 

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